世界情勢の裏で相場を動かす金融政策

2022年4月12日

こんにちは、北田です。

本日の記事は3月13日執筆時点での
見解になります。

先週もウクライナ情勢によって
大きく相場が動いた1週間となりましたね。

2度の停戦協議後もロシアからの爆撃が
止まらないということで、
引き続きリスクオフ相場となっており、

ニューヨークの原油先物価格が一時、
1バレル130ドルを超える等しました。

しかしその後、トルコでロシアのラブロフ外相と
ウクライナのクレバ外相が協議。

ゼレンスキー大統領もEU加盟を断念する等、
ある程度の歩み寄りを見せる姿勢を見せ、

さらにプーチン大統領も、
交渉には前向きな変化があると述べたことで、
一旦大きくリスクオン相場となり、
原油価格は急落する等しました。

しかしながら、クレバ外相は、
今回の協議でも、進展は見られなかったとし、
また引き続きロシア軍はキエフに進行しており、

さらにロシアが科学兵器を使用する可能性も浮上し、
再度リスクオフ相場となり、週を終えました。

これらの一連の流れで、例えば日経平均株価は
一時1000円を超える程の上昇を見せ、
翌日には逆に700円を超える程の下落を見せる等、
乱高下した相場となっていました。

セクター別に見ても、海運や石油関連銘柄が
大きく上昇した日の翌日は、逆に一番大きく下落を見せる等し、
個別株で見ても、非常に難しい相場だった印象があります。

引き続き、ウクライナ情勢中心として
相場が動いていくことが予想されますが、

そんな中で今週は各国の
中央銀行の政策金利が控えています。

米ドルの今後

まずは日本時間17日の、FOMCです。

先週の2月分の米CPIでは、前年同月比で+7.9%と
40年ぶりの大幅な伸びとなり、
改めてインフレ進行が明らかとなりました。

来月発表される3月分のCPIでも、
原油価格の急騰によるさらなるインフレ進行が見込まれ、
今回は既にパウエル議長が議会証言でも明らかにしているように、
少なくとも0.25%の利上げになることが予想されます。

※CPI(消費者物価指数)とは、
 その国の全世帯が購入する、家計にかかる
 財やサービスの価格を総合した、
 物価の変動を測定するもの

ただし、同時にスタグフレーションも
懸念されている状況ですので、
FRBとしては、インフレ対策として、
そのまま素直に利上げをするという形にすることも難しく、

この判断がどのようにされていくのか、
また今後の利上げペースやバランスシートの縮小の
タイミング等も注目されるでしょう。

FOMCの直前に行われる、PPIや小売売上高が
まずは手がかりとなってきそうです。

その上でドルの方向性を考えてみますと、
やはり利上げによるドル買い動意を素直に考えたいですが、

さらに現在は安全通貨としてのドルという
位置づけ的な動きも直近では見せており、
今後のウクライナ情勢によるリスクオフのドル買い動意も
同時に入ってきそうです。

直近ではこの考えで問題ないと考えていますが、
ただ長期的に見ると、ドルの基軸通貨としての位置づけが
崩れていきそうな流れになっていると考えることもできます。

今回のロシアに対する制裁も然りですが、
ここ最近、アメリカは各国への制裁を武器に
活動し過ぎているように見えます。

直近のロシアでもそうでしたが、
制裁逃れの為に、あらかじめ中央銀行の外貨準備を
ドルから人民元やユーロ、そして金等に
シフトしていっていました。

これは中国も同様で、特に反米主義の国は、
ドル離れをしようとしている動きになっています。

さらに今回、EUの国々は、ロシアに対して、
ユーロの外貨準備も凍結をしたことで、
反西側諸国の国々は、ドルやユーロから
離れる動きになることが予想されます。

このようになっていくと、ドルに対しての信頼が失われていき、
長期的にはドルを安心して買っていくことが難しくなるのも、
少し頭に入れておく必要はあるのではないかと考えています。

ユーロの今後

次にユーロですが、先週のECB政策金利発表で、
金利は予想通り据え置きとなりましたが、
今月PEPPを終了し、往来のAPPも前倒しで終了。

さらに「金利は現在よりも低くなる可能性」という文言が
声明から削除されたことで、一旦ユーロ買いとなりました。

ただしその後、インフレが短期的に加速する可能性があり、
同時に成長見通しの減速、いわゆるスタグフレーションの懸念が
発言されたことで、ユーロ売りとなりました。

さらに、一時は年内に利上げの予想も出ていましたが、
今はインフレ対策よりも、ウクライナ情勢による
市場の混乱を収めることを優先する必要がある為、

年内の利上げは難しいという話も浮上し、
直近ではなかなか思い切ってユーロを買えるような相場では
無くなってきていると考えています。

またFRBが利上げをすることで、欧米の金利差拡大により、
ユーロは引き続き売られやすくなるでしょう。

ポンドの今後

次にポンドですが、イギリスでも
今週、政策金利発表が控えています。

今回も0.25%の利上げが予想されておりますが、
既に市場では織り込み済みかと思われます。

もしも、その後の声明で今後の利上げペースや
バランスシートの縮小のタイミング等で、
さらなるタカ派的な内容となれば、
ポンド買いへと触れる可能性が高くなるでしょう。

また原油価格がさらに高騰していけば、
引き続き、ポンドは買われやすくなっていくことが
考えられますので、ポンド絡みの通貨ペアを触る時は、
原油価格の動向にも目を向けておくと良いでしょう。

日本円の今後

そして円ですが、日本でも
18日に日銀金融政策決定会合が控えています。

日本も原油価格の高騰による物価上昇、
そして、景気減速が予想されることから、
引き続き金融緩和継続となるでしょう。

ただ、ここ最近の相場を見ておりますと、
円という通貨が単独で動くことは
少なくなってきたように思います。

今回のウクライナ情勢でも、安全通貨として
思い切って円が買われていくような相場があまり見られません。

リスクオフ相場の時、これまでは株価が大きく売られ、
そしてクロス円全体が下がるということが多かったのですが、
最近はこの作用が弱まっているように感じます。

結局のところ、日本もロシアに金融制裁を科したことで、
円の外貨準備も安全ではないという位置づけとなり、

リスクオフの時は円を買うという動きよりも、
スイスフランないしは、金や仮想通貨のほうに
資金が向かっている状況です。

これらのことを考えると、
各国が利上げをしている中、
日本は金融緩和継続ということで、
円が買われることは少ない、

さらに、安全通貨として見るのも
心もとないということで、今後ウクライナ情勢が悪化し、
一時的に円が少し買われるようなことがあっても、

ドルも安全通貨として見られている以上、
ドル円としては、今後も上昇していくのではないかと
考えることができます。

株式市場について

最後に、株式市場についても少し見ておきます。

やはり先週は原油価格の高騰によって、
石油関連企業が大きく上昇しました。

日本では、INPEXや三井松島、住石、日本コークス等、
アメリカではシェブロンやエクソンモービル等が大きく上昇しました。

しかし、原油価格が急落した日は、
これらの銘柄は軒なみ下落しました。

また原油価格の動きは、これらの銘柄だけでなく、
輸送コストの増加や電気代の高騰等、
あらゆる企業にも影響してきます。

また現在は脱炭素の動きから、
目先のエネルギー確保にシフトしつつあり、

それが、原発なのか天然ガスなのか、
ないしはアメリカではシェールガスなのか、
議論されています。

コストが一番安く、二酸化炭素の排出も無いとなれば、
原発が一番の選択肢となりますが、

やはりロシアがウクライナの原発を攻撃したことや、
過去の原発事故等の影響で、
なかなか原発推進とはいきにくい状況でもあります。

天然ガスにしても、
EUはロシアからの脱エネルギーとする以上、
天然ガスの輸入を減らしていく必要もあり、

アメリカのシェールガス開発も、
今日明日すぐにできるものでもありません。

アメリカとしては、イラン核合意を早急に進め、
イランへの制裁を解除し、イランの原油を各国に輸出させ、
原油価格の高騰を抑えようとしており、
さらにベネズエラとの関係も回復させようとしています。

記事を執筆している週末の段階では、
イランの核合意は、行き詰っている状況ですが、
今回のロシアに対しての制裁、そして原油価格の高騰が、
世界各国の政策変更に繋がっている状況です。

これらの動きがどのようになっていくかで、
今後の株式市場では、どの分野に光が当たるのか
決まっていきそうです。

ということで、各国の通貨や市場を見てきましたが、
今後も引き続き、ウクライナ情勢、そして原油価格の動向、
それに対する各国の政策転換が中心となって
市場が形成されていくでしょう。

相場の動きは一寸先は闇という言葉がある通り、
まさに今後どのようになっていくか読みにくい相場ですが、
資金管理や、自分で決めたルールを守る等、
基本的なことは忘れずに、相場と向き合っていくようにしましょう。

以上、何か参考になれば幸いです。

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