FXの証拠金維持率とは?初心者にも分かりやすく解説!

2021年7月22日

FXは、あなたが入金した資金を使って、投資を行っていきます。

しかし実は、証券会社に預けた金額のすべてが、投資の資金にできるわけではありません。

例えば10万円を入金しても、その一部は証券会社への担保として預けることになっているんです!

……これだけだと複雑な仕組みに聞こえるかもしれませんが、ご安心ください。

今回はFXの資金に関するお話「証拠金」について、わかりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までご覧くださいね。

証拠金を表す用語解説

まずは「証拠金」にまつわる、それぞれの用語について解説していきましょう。

FXを始めたばかりの方でも理解しやすいように、身近なものに置き換えて解説するので、まずはなんとなくのイメージを持ってもえればと思います。

証拠金

証拠金とは「FXでの取引の際に必要な資金」のことです。

一般的に「資金」「軍資金」「元手」などと言われるものですね。

ここまではイメージしやすいと思いますが、さらにこの証拠金は「必要証拠金」「有効証拠金」と2つ分類され、それぞれ別の役割を与えられます。

必要証拠金

必要証拠金は「エントリーする(ポジションを持つ)ためにその取引額に比例して最低限必要となる預託金」のことを指します。

もっと噛み砕いて解説すると「必要証拠金が担保となって、残りの資金(有効証拠金)で自由にトレードができる」というイメージです。

この必要証拠金額は、FX口座の種類や通貨ペア、取引量によって異なります。
日本の証券会社で通常のFX口座(レバレッジ25倍)の場合、おおむね取引額(現在レート×取引数量)の4%分が必要証拠金となります。

(例)
・ドル円相場
・レートは110円
・取引数量は1ロット(10,000通貨)
・証拠金は10万円

この場合、レート110円×10,000通貨×0.04(4%)となり、必要な証拠金は44,000円となります。

ただ、このような難しい計算式を覚える必要は全くありません。

ここでは「必要証拠金=トレードに必要な最低限の資金」と覚えておけばOKです。

有効証拠金(純資産)

続いて、有効証拠金(純資産)を解説していきます。
※証券会社によって呼び方が変わるので、今回は有効証拠金で統一します。

有効証拠金とは「証券会社に預けた資金のうち、含み益、含み損をあわせた総合的な金額」のことを指します。

わかりやすく言えば「自由に使えるお金」ということですね。

ちなみに含み益とは、トレード中で「いま決済すればプラスの利益になるぞ」という状況の金額です。
そして含み損は、逆にトレード中に「いま決済すれば利益がマイナスで終わる」という状況の金額ですね。

必要証拠金との大きな違いとして、有効証拠金はトレードに応じてリアルタイムで増えたり減ったりする特徴があります。

(例)
有効証拠金100万円でトレードしていたら20万円の含み益になった。
→この時の有効証拠金は、100万円+20万円=120万円

しかし、その後相場が大きく動いて、含み損が40万円になった。
→この時の有効証拠金は、100万円-40万円=60万円

このように、損益がリアルタイムで反映される有効証拠金は、次に紹介する「証拠金維持率」に大きな影響を与えます。

証拠金維持率

証拠金維持率は「有効証拠金に対する必要証拠金の割合」のことを指します。

つまり「自由に使えるお金がどれくらいあるか」というのを%で表したものです。

この割合が高くなる分には問題ないのですが、割合が小さくなると「自由に使えるお金が減ってきていますよ」という合図になります。

そして、証拠金維持率がある一定の割合を下回ると、証券会社が「これ以上、自由に使えるお金が減ったら危険だ!」と判断して、資金を守るために保有しているポジションをすべて決済してしまう、「強制ロスカット」が発生します。

この強制ロスカットにならないためにも、トレードをする時には証拠金維持率をこまめにチェックすることが必要です。

主要な国内証券会社は、証拠金維持率が100%もしくは50%を下回ったタイミングで強制ロスカットが発生する場合が多いので、どのタイミングで強制ロスカットが発生するのか一度、証券会社のホームページをご確認くださいね。

さて、ここまで解説した用語をまとめてみます。

■証拠金:トレード資金のこと
必要証拠金:証券会社の担保としてトレードに使えないお金
有効証拠金:トレードで自由に使えるお金

■証拠金維持率:トレードで自由に使えるお金を%にしたもの
※100%もしくは50%を切ると強制ロスカットになるので要注意

このように覚えておくと、この先の解説もスムーズに理解していけるでしょう。

証拠金の計算方法

FXの必要証拠金は「取引量とレバレッジ」によって変わるので、取引額に応じた資金を証券口座に入れておく必要があります。

また、証券会社によって最低取引量(最低購入単位)が異なります。

今回はドル円で1ドル=100円と仮定して、取引量別の必要証拠金を見ていきましょう。

必要証拠金の計算式

必要証拠金=レート×数量÷レバレッジ

(例)取引量:0.1ロット(1,000通貨)の場合

▼必要証拠金
レバレッジ10倍なら:10,000円 = 100 × 1,000 ÷ 10
レバレッジ25倍なら:4,000円 = 100 × 1,000 ÷ 25

(例)取引量:1ロット(10,000通貨)の場合

▼必要証拠金
レバレッジ10倍なら:100,000円 = 100 × 10,000 ÷ 10
レバレッジ25倍なら:40,000円 = 100 × 10,000 ÷ 25

このように「ドル円で1万通貨を取引するには、何万円の証拠金が必要か」と理解しておけば、10万通貨の場合はいくら、100万通貨はいくらとカンタンに計算ができるのでおすすめです。

証拠金維持率の計算方法

また、証拠金維持率はこのような計算方法で求められます。

証拠金維持率(%)= 有効証拠金÷必要証拠金×100
(例)
証拠金100万円、1ドル=100円のときに、10万通貨を保有した場合。

100万円÷40万円×100= 250

証拠金維持率は250%

と、ここまで難しい解説してきましたが、必要証拠金や証拠金維持率はターミナルの画面で確認できますし、ネットで調べれば数字を穴埋めすれば自動で計算してくれるサイトもあるので、計算式まで覚える必要は全くありません。

証拠金維持率を保つ方法

証拠金維持率を保つのは、大切な資金を守りながらFXで稼いでいくためにも、とても大切なことです。

そこで、ここからは証拠金維持率を保つための方法をお伝えしていきましょう。

方法1:FX口座に追加の資金を入金する

証拠金維持率を保つ方法として、追加で証拠金を入金すること(通称:追証)で証拠金維持率を上げられます。

カンタンで即効性のある対処法ではありますが、今後さらに含み損が膨れ上がると、追証分の証拠金も含めて強制ロスカットする可能性があるので、十分注意して入金しましょう。

方法2:ポジションの一部を決済する

複数のポジションを保有している場合、その一部を決済すれば必要証拠金は減りますが、その分、証拠金維持率が上昇するので、強制ロスカットを回避できます。

損が拡大しているポジションは思い切って損切りすることも、長くトレードで利益を獲得し続けるために大切な考え方です。

方法3:ロットを低くする

エントリー前にできる方法として、ロットを小さくすることも、強制ロスカットを避ける有効な手段です。

基本的にロット数を高くすればするほど証拠金維持率は下がり、強制ロスカットの危険性が高まります。

逆にロットを小さくすれば、獲得できる利益は小さくなりますが証拠金維持率を上げ、ロスカットのリスクは下げることが可能です。

特にFX初心者の場合は、まず最初は小さいロットの取引で始めることをおすすめします。
※ロットについては次のステップで学びます

方法4:損切りルールを作る

最後に紹介するのは、損切りのルールを守るということです。

これは、多くのプロトレーダーも実践している、おすすめの対処法です。

なかなかFXで稼げない人の特徴として、「損をしたくない」という思いが強すぎで「もう少し待てばレートが戻ってくるはずだ」と、自分の都合の良い判断をして含み損をそのままにする場合があります。

願いが届いて戻ってくれば問題ありませんが、そのまま含み損が膨らんでいくと、やがて強制ロスカットになってしまうかもしれません。

そのため「ここまできたら絶対に決済する」と、エントリーする前に損切りポイントをあらかじめ決めておくことも、資金を守る上で非常に大切です。
※損切りについては資金管理のステップで学びます

まとめ

さて、今回のポイントを振り返ってみましょう。

■証拠金:トレード資金のこと
必要証拠金:証券会社への担保としてトレードに使えないお金
有効証拠金:トレードで自由に使えるお金

■証拠金維持率:トレードで自由に使えるお金を%にしたもの
※100%もしくは50%を切ると強制ロスカットになるので要注意

■難しい計算式を覚えなくても、MT4のターミナルをチェックすればOK

■証拠金維持率を保つためにも、損切りルールを守ってトレードしよう

複雑に考える必要はありません。
そういう仕組みがある、ということを認識さえできればOKです!

ぜひこの記事を参考に、強制ロスカットにならないように資金を守りながらトレードしていきましょう!