通貨ペアとスプレッドについて
FXは、各国の通貨同士を扱うことで利益を上げていきますが、その中で必要になってくる基礎用語「通貨ペア」と「スプレッド」について、ここでは解説していきます。
複数の国の通貨や、資金量についてなど、なんだか複雑なイメージがあるかもしれませんが、今回の内容をご覧になれば案外シンプルなんだと気づけるでしょう。
今回もできるだけわかりやすく用語を解説していきますので、ぜひ少しずつ覚えていきましょう。
通貨ペアとは
まずはじめに、通貨ペアの解説をしていきます。
通貨ペアとはその名の通り、「売買する2国の通貨の組み合わせ」のことです。
ちなみに、それぞれの通貨の組み合わせを表記する際には、取引通貨(例:米ドル)/ 決済通貨(例:円)という順番で表記します。
為替相場を考える際に、この取引通貨が現在、決済通貨に対していくらなのかを指しています。
ドル円の場合は、1ドルが何円かを示すことになります。
これがポンド円だったなら1ユーロが何円、ユーロ円なら1ユーロが何円という風に考えるわけですね。
通貨ペアを表す用語
次に、特定の通貨ペアを指す用語について簡単に紹介しておきましょう。
FXの情報サイトや動画などで度々出てくる用語なので、覚えておくと今後役に立つはずです。
クロス円
クロス円とは、FXにおける「米ドル以外の外国通貨と日本円の組み合わせ」のことを指します。
(例) ユーロ円、ポンド円、カナダ円、オージードル円(別名:コアラ円)、ニュージードル円、スイス円など |
ドルストレート
続いてドルストレートとは、「米ドルと他通貨の組み合わせ」のことを指します。
(例) ドル円、ユーロドル、ポンドドル、カナダドル米ドル、オージードル米ドル、ニュージードル米ドル、スイスドルなど |
主な通貨ペア
各国の通貨は多種多様で、その組み合わせの数だけ通貨ペアは存在することになります。
しかし、そこから自由に選択してください、と言われても困ってしまいますよね。
そこで参考として、国際決済銀行が発表した2019年の年間取引量が多かった通貨ペアTOP3をご紹介します。
取引量が多いということは、“それだけ多くの人がトレードしている”ともいえるので、迷ったらぜひチェックしてみましょう!
第3位:ポンドドル(GBPUSD)
ユーロの出現により存在感は多少低くなっていますが、もともと基軸通貨(国際間の決済に広く使われる通貨)であったこともあり、今もポンドはメジャーな通貨のひとつです。
そしてドルももちろん人気の高い通貨なので、その組み合わせはかなり取引量が大きいんですね。
そんなポンドドルは“大きな利益を狙いやすい”ということで、初心者だけでなくプロトレーダーからも愛される通貨ペアとして知られています。
第2位:ドル円(USDJPY)
日本人に最も馴染みのある日本円は、海外投資家にとって安全資産の一つと認識されています。
安全資産というのは、なにかあった時に避難させておく通貨のようなイメージです。
つまりドル円の場合ですと、アメリカなどの景気が傾いてきた時、安全策をとるために日本円に変えておこう、という動きが見られやすいということ。
そしてもちろん、先ほども触れたようにドルは人気が高い通貨です。
このように円、そしてドルという人気同士の通貨の組み合わせは、やはり取引量が非常に大きくなるわけですね。
第1位:ユーロドル(EURUSD)
ユーロはヨーロッパの主要各国で使える通貨として、やはり人気が高いので、ドルと組み合わせることで通貨間のやり取りはかなり高まります。
また、重要なのは「複数の国で使われる」という点にあります。
例えば日本人がトレードしようと思ったら、馴染みの深い日本円でトレードしようと考えるかもしれません。
同じように、ヨーロッパの各国でトレーダーが活発な時間は、やはりユーロ系の通貨ペアが活発になる。
しかも、ヨーロッパと一括にしても非常に広いですから、その分、活発になる時間も日本のような小さな島国よりもずっと長く通貨が盛り上がるわけですね。
24時間取引できるというFXの特徴ともマッチした、取り扱いやすい通貨ペアといえるでしょう。
通貨ペアを選ぶコツ
続いて、実際に通貨ペアを選ぶコツについてご紹介しましょう。
先ほど取り上げた3つの通貨ペア以外にも、この要素を覚えておけばさらに有利にトレードできるようになりますよ。
スプレッド(手数料)で選ぶ
FXとは通貨の取引なので、取引を始めた時と、終えた時の価格差(為替差益)で利益が発生します。
この為替差益を得るためには、できるだけ取引手数料(スプレッド)が少ない通貨ペアを選ぶのがポイントです。
この「スプレッド」については後述で解説しますね。
スワップで選ぶ
数日~数ヶ月に渡ってトレードする場合は「スワップ」にも注目です。
スワップとは、通貨ペア同士の金利差によって発生する利益や損失のことを指します。
高金利通貨を買った場合、低金利通貨との金利差分の利益を毎日受け取れるので、長期でのトレードを考えている人は、ぜひチェックしておきましょう。
スワップについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事を参照ください。
流動性が高い
通貨の取引量が多いことを“流動性が高い”と表現します。
流動性が高い通貨ペアでは一方的に価格が動き続ける「トレンド」が発生しやすいので、FXを始めたばかりの人でも大きな利益を稼ぎやすいという特徴があります。
主にドル、ユーロ、ポンド、円などの有名な通貨同士の組み合わせは流動性が高いので、初心者はまずこれらの通貨ペアを狙うと良いでしょう。
スプレッドとは
続いて先ほども登場した「スプレッド」について解説していきます。
まず初めにこちらの画像をご覧ください。
MT4でトレードしている方ならすっかり見慣れた注文画面ですね。
スプレッドとは「通貨の売値と買値の差」であり、証券会社側に支払う手数料のことを指します。
手数料と聞くとびっくりするかもしれませんが、例えば消費税を思い浮かべてください。
物を購入する時に私たちはもとの価格にプラスして、国に対して消費税を払いますよね。
トレード時に発生するスプレッドは、証券会社に対してプラスで支払うものであり、証券会社はここで収益を手にしています。
これがなければ証券会社は成り立ちません。
そのためスプレッドは世界中どこの証券会社でも発生するものです。
ただ、証券会社によって設定が異なるので、事前によく確認しておくようにしましょう。
ちなみに、スプレッドの表現は一般的に「広い」「狭い」という言い方で表されますが、時々「高い」「低い(安い)」と表現されることもあります。
この言葉の違いを簡単に整理しておきますね。
「広い」=「高い」
「狭い」=「低い(安い)」
こういった関係性が成り立ちます。
いきなり普段使わない表現になると戸惑うかもしれませんが、スプレッドが高い=売値と買値の差が大きい、スプレッドが安い=売値と買値の差が小さい、と覚えておきましょう。
スプレッドの変動要因
証券会社によっては「ドル円スプレッド原則固定0.2pips」という広告を出していることもありますが、あくまでもそれは原則固定であり、必ずスプレッドが0.2pipsであるという意味ではありません。
スプレッドが変動するタイミングは、主に市場の需要と供給のバランスが崩れる瞬間です。
人気があり流動性も高い通貨ペアでは、買い手と売り手の取引が頻繁に行われるため価格が安定し、スプレッドは狭くなりやすい傾向があります。
その反対に、マイナーで流動性の低い通貨ペアは価格が不安定になりやすく、スプレッドは広がる傾向にあります。
ただ、こうした基本的な場面以外にも、相場状況に応じてスプレッドが広がりやすくなるタイミングは存在します。
主なものをいくつか紹介していきましょう。
タイミング1:雇用統計などの重要な経済指標発表前後
まずはアメリカの雇用統計や各国の政策金利発表などといった、重要な経済指標発表前。
相場の様子を伺うため、取引の流動性が低下してスプレッドが開きやすくなるんです。
なぜこのような現象が起こるのかというと「経済指標の結果=発表された国の景気への期待値が反映される」と考えるため。
大量の資金を運用している投資家たちは「景気が上昇する期待値の高い国に投資したい」と考え、経済指標前に資金を引き上げています。
そして、経済指標の発表で景気に期待が持てれば新たな買い注文、景気に期待が持てなければ売り注文が一気に殺到するため、証券会社はスプレッドを広げてより多くの収益を狙っているんですね。
イメージとしてはコロナウイルスの蔓延で、マスクの値段が跳ね上がった時と同じ原理ですね。
「大きなお金が一気に動く瞬間に、証券会社はスプレッドを一気に開く」と覚えておきましょう。
タイミング2:災害や要人発言などのビッグニュース
続いて、各国の中央銀行総裁や大統領、政治家といった要人の重大な発言や、戦争やテロなどの国際情勢で大きな変化が起こった時、通貨の価格が急変することがあります。
こちらも前述の経済指標と同様、今後の景気を左右する内容であれば注文が殺到するため、スプレッドが大きく開きやすくなります。
最近だと、新型コロナウイルスを引き金に起こったコロナショック相場。
あとは米大統領選という世界的に注目される大きなイベントの時、どちらもスプレッドが一気に開いて、狙った価格で取引ができない相場となりました。
タイミング3:明け方の時間帯
最後に、日本時間の朝5時~午前8時くらいまでの間は、世界の主要なマーケットが開いていない時間帯なので、市場参加者が少なく、流動性が低下することからスプレッドが広がる可能性があります。
このような相場では、無理にトレードせず静観しておくことをおすすめします。
意図しないところでトレードしたり、自動売買を行っていたりする場合は、この時間帯に突入する前にポジションを決済してしまうのもひとつの対策です。
スプレッドの計算方法
最後に、スプレッドを円換算する方法をご紹介します。
■計算式■ スプレッド(pips)×取引量(通貨)=スプレッド(円) (例)ドル円のスプレッドが「0.5銭」の場合 [1万通貨(1ロット)の場合] 0.5銭×10,000通貨=5,000銭 = 50円 |
100万通貨、1,000万通貨とロット数を増やせば、それに比例して取引コストは増えていくため、取引回数が少ないほうがスプレッドで引かれる手数料を抑えることができます。
また、こういった計算式を覚えなくても、MT4でカンタンに表示させる方法があります。
まずはチャート画面の左上「気配値表示」をクリックしましょう。
次にチャート左側にできた気配値で「右クリック」→「スプレッド」をクリックしましょう。
そうすると気配値の右側の「!」の列が追加されましたね。
ここの数値がスプレッドです。
この場合、ポンドドル(GBPUSD)は27銭、ユーロドル(EURUSD)は16銭とカウントします。
普段からスプレッドを気にして、0.1pipsでも損したくないという方はこちらの機能を参照してみてはいかがでしょうか。
まとめ
さて、今回のポイントを振り返ってみましょう。
■通貨ペアとは、売買する2国の通貨の組み合わせのこと
■トレードに慣れるまでは、ユーロドル、ドル円、ポンドドルといった、流動性が高い通貨ペアを選ぼう ■スプレッドとは、トレード時に証券会社に払う手数料のこと ■スプレッドは相場状況に応じて変化するので、スプレッドが広がったらトレードをしない |
今回は新しい情報がたくさん出てきたので、一度では覚えきれないことも多いと思います。
ぜひ二度、三度と繰り返し記事を読んで、少しずつ覚えていきましょう^^