「家計と企業に痛みを…」危険発言でFX相場が動く!

こんにちは、北田です。

僕は今、タイで過ごしているのですが、
タイは毎日雨が降っていて、

あまり外には出られなくて
ちょっと退屈しています(笑)

聞くところによると、

日本もアツい夏が終わり、
やっと少し涼しくなってきたみたいですね。

そんな季節の変わり目は、
体調を崩しやすくなるので、
どうぞお気を付けください。

波乱を呼んだジャクソンホール会議

先週はジャクソンホール会議での
パウエルFRB議長の発言によって、

ダウ平均株価が
1000ドル以上(3%以上)下落し、

S&P500種指数も3.37%安、
ナスダック総合指数は3.94%、

主要の3指数ともに
大幅な下落となりました。

市場としては前回のCPIで
インフレの鈍化等が見られ、

このことにより、

利上げペースの鈍化や、
来年の緩和策への移行の方針等も
示されるのではないかと
淡い期待も一部ありました。

そんな中、

「家計や企業に何らかの
 痛みをもたらしてでもインフレを抑えるべき」

という趣旨の発言内容から、
改めて断固とした引き締め政策を
継続していくことが明らかとなり、

株価全体が大きく売られることに
繋がっていきました。

パウエル議長の発言自体は、
10分弱の時間でしたが、

要約すると、

・インフレ率を低下させることは、
 家計や企業に何らかの痛みが伴うが、
 インフレを放置しているとさらなる痛みに繋がる。

・インフレが高止まりすると人々は、
 賃金や物価に目を向けなければいけないことが定着してしまうので、
 早くインフレを退治しなければならない。

・労働市場は好調だが、
 需要と供給のバランスは明らかに崩れている。

といった内容で、
一言で言えばタカ派的な
内容だったことになります。

昨今、景気後退が
心配されていましたが、

FRBとしては、
多少の犠牲を払ってでも、

インフレを退治する
姿勢を示したことが、

個人的にはサプライズ
となったように感じました。

中間選挙も控えており、

株価を意識して控えめな
内容になるという
淡い期待もありましたが、

パウエル議長の断固とした姿勢が
示されたことになりました。

いま注目すべきは原油価格

結局のところ、

前回のCPIは原油、
石炭価格の下落等により、

全体のCPI指数が
下落したにしか過ぎず、

賃金や食料品価格、
そして家賃等は上昇を続けており、

再び原油、石炭価格が
上昇に転じれば、

インフレ率も
再度上昇することになります。

さらに加えて、

これから北半球では、
冬に向かっていき、

暖房機器による
エネルギーの消費が
激しくなります。

しかも世界各国で
干ばつや、洪水等、
再エネも壊滅的な状態。

中国がロックダウン解除となり、
経済活動を再開となれば、

さらなる石油、
石炭の需要が高まり、

原油、石炭価格は、
やはり上昇していくでしょう。

そうなると、

世界的にインフレがさらに進み、
このことで、FRBだけではなく、

各国の中央銀行としては
さらなる引き締め政策を
せざるを得ない状況が続き、

株式市場としては、
弱気相場が続きそうな
状況になるでしょう。

また、これは当然相場的に
ネガティブな話というだけではなく、

例えばアメリカでは、
公共料金の値上げにより、

6世帯に1世帯の割合で、
公共料金の滞納をしている世帯が居る程、
生活が困窮しており、

欧州やイギリスでは、

燃料費の支払いが
月給の8割に達してしまっている人もいる程、
燃料価格が上昇し続けています。

先週の段階でも、
ノルドストリーム1が
3日間停止されるということで、

欧州の天然ガスの価格が
20%以上も急騰し、
過去最高値を更新する等、

今後さらなる燃料費の負担が
重くのしかかっていくことになります。

世界的に、この冬を
無事乗り切れるのかどうか、

かなり危機的な
状況になっていると言えます。

その上で、為替市場を
見ていきたいと思います。

米ドルについて

まずはドルからですが、
前述の通り、
先週ジャクソンホール会議が開催され、

パウエル議長の発言としては、
タカ派の内容となりました。

これにより株価は
大きく下落したものの、

長期金利はさほど
大きな上昇とはなりませんでした。

これは同時期にECB側から、9月の定例理事会で
75bpの利上げ議論の発言があったことで、

同時にユーロ買いも入り、
相対的にドル買い需要が
減少したことによるものだと推察できます。

為替市場の場合は、
常に他の通貨と相対的に考える必要があり、

いくら「さらなる利上げ観測」という
ニュースが出てドル買いだと判断しても、

同時に他の通貨でも
買われる情報が出ると、

その通貨の買い圧力は
減ることになります。

今回もFRBのさらなる
利上げ観測という情報が出たものの、

同時にECBから、さらなる
利上げ観測の情報が出たことで、

ドル買い需要が、
ユーロ買いにも流れたことで、

さほど大きなドル買いには
繋がらなかった相場となりました。

その上で、2日に雇用統計を控えており、
まずはこれが意識されて動く展開となりそうです。

前回の雇用統計は
予想外に強い数字でしたが、

パウエル議長が述べている通り、

労働者の需要と
供給のバランスが崩れているので、

表面上の数字ではなく、
細かい数字まで見ていく必要があります。

雇用統計に限らずですが、
最近の指標発表は、

強い数字 → 景気が良い → 株価上昇

ではなく、

強い数字 → 景気が良い → さらなる利上げ → 株価下落

となっている傾向にあり、

指標発表の数字だけではなく、
その中身自体の意味を考えながら、

各投資対象の方向性を
見極めていく必要があります。

今回の雇用統計も、
前回の数字よりも
低い数字になることが予想されますが、

前回が強い数字だったことと、

次回FOMCで75bpの
利上げ観測が背景にあることで、

素直にドル売りとなる可能性は
低いのではないかと考えています。

また雇用統計に先立って
1日にISM製造業景況指数が公表されますが、

予想よりも低い数字が出た際、
一時的にドル売りの反応は見せるものの、

FRBの多少の痛みを伴っても
引き締め継続姿勢の背景がある以上、

すぐにドルは
買い戻される展開となりそうです。

ユーロについて

次にユーロに関してですが、
8日にECB定例理事会が控えておりますが、

75bpの利上げ観測が出ており、
これを見極める動きとなりそうです。

先週のジャクソンホール会議での相場と比べて

ECB関係者からのタカ派発言後に
ドルが売られていることを考えると、

FRBのタカ派政策よりも、
ECBのタカ派政策の方が、

よりインパクトが
大きかったことが分かります。

ただECB定例理事会で
75bpの利上げとなった場合も、

瞬間的にはユーロ買いへと
反応する可能性もありますが、

欧州の天然ガス価格が最高値更新し、
欧州の景気後退が危機的な状況である
背景があるということは忘れてはならず、

すぐにユーロ売り圧力となりやすいことも
考えておく必要があります。

ポンドについて

次にポンドですが、

イギリス国内でも、
インフレ率が危機的状況になっており、

来年1月にはインフレ率が
前年比で+18.6%になるという見通しも出ており、

国民生活に大きな影響を
今後も与えていきそうです。

そんな中で、

9月5日に首相を選出する
党首選を控えています。

元財務相のスナク氏とトラス外相が
有力候補となっていますが、

トラス氏が今のところ
リードしている状態です。

簡単に両者の政策をまとめると、

スナク氏は
早期減税に対して慎重姿勢であり、

インフレ対策を
最優先に掲げている反面、

トラス氏は、

即時減税、
国民保険料の引き下げ、
法人税増税の撤回、
国防費の増額等を訴えており、

スナク氏の方が
現実路線という印象です。

トラス氏の方が
支持は高いものの、

実際に即時減税をしてしまった
財政は大丈夫なのか等、

非現実的な面もあり、
これが相場にどう影響を与えるか
考えておく必要があります。

次期首相が決まるのが5日ということで、
平日になりますので、

ポジションメイクは
注意しておいた方が良いでしょう。

またイギリスでもインフレ政策で
さらなる利上げが予想されますが、

景気減速の懸念が継続することで、
ポンドを買っていくことが
難しい相場が続くと考えています。

円について

最後に円に関してですが、
現在日本では12ヶ月連続で
貿易赤字となっています。

この貿易赤字は、国債発行です。

そしてその国債は日銀が
買い支えている状況ですが、

これによりさらなる円安が
続くといった状況になっています。

これまでは金利差による
円売りとなっていたところ、

さらに貿易赤字による円売りも意識して
円が売られていくことも十分に考えられます。

円に関しては今後の日本の貿易収支にも
目を向けて売買していくと、
方向感が掴めるのではないかと思います。

ということで、
各通貨見てきましたが、

今後もインフレ動向、
そして各中央銀行の引き締め政策、
景気減速がテーマとなり、

相場が動いていくでしょう。

また特にこれから秋にかけて、
1年で相場が一番大きく動きやすい時期でもありますので、
より注意して相場を見ていく必要があります。

以上、何か参考になれば幸いです。

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