新型コロナワクチンにまつわる直近相場の動向
こんにちは、北田です。
いよいよオリンピックが始まりましたね。
色々な理由から
反対派も多い中での開催となりましたが、
ただ前回のリオオリンピックや、
1964年の東京オリンピックでも、
直前まで反対派が多数でした。
しかしいざ開催してみたら、
一転して大盛り上がりとなっていた
という過去もありますので、
今回も最終的には日本全体、
世界全体で盛り上がると良いですね。
逆にオリンピックが中止となっていたら、
日本はコロナに負けた国と判断され、
また感染者数が他国に比べて
少ないにも関わらず中止となることで、
日本の医療の脆弱性が浮き彫りとなり、
また国際社会から
信頼を失うことにも繋がるので、
今回は少々無理してでも
オリンピックを開催することで、
将来の日本にとっては、
絶対にプラスになるはずです。
また来年には北京オリンピックが控えておりますが、
恐らく徹底した管理の下で行われる反面、
海外からの観客をどんどん受け入れ、
会場内ではマスク無しで、アルコールの提供も行い、
大盛り上がりすることが予想されますので、
その辺りは少し悔しいですね。
中国は感染に対する管理を
徹底的に行っていることもあり、
逆に観客としては、安心して観戦ができそうです。
日本含めて欧米等では、やはり人権が最優先され、
そこが感染対策に不備があったり、
ワクチン接種が中々進まない
といった問題点が出てきていますが、
この辺りが今後世界での
課題となっていきそうです。
直近の経済について:ドル編
さて相場に関してですが、
先週前半は、株式市場が大幅に下落し、
NYダウでは、今年最大の下げ幅となりました。
これはやはりデルタ株の感染拡大により、
リスクオフ相場となり、
安全資産である米国債に買いが入り、長期金利の低下、
そして、株式が売られるという動きになりました。
そしてドル円市場では、
19日は一時1円程の下落を見せていました。
しかし、ユーロドルやポンドドルでも、
下落を見せた相場となっていました。
これは必ずしも、ドルが相対的に
大きく売られたわけではないということが言えます。
※赤丸の部分が7月19日です。
ドルが相対的に大きく売られたのでしたら、
ユーロドルやポンドドルは上昇するはずですが、
そうはなっていません。
通常、国債金利が下がれば、
ドルは売られるはずなのですが、
全体を見ると、
どうやらドルが大きく売られたとは言えなくなります。
またむしろ、それまでの動きを見てみてみると、
国債金利は4月始めを頂点に下がり続けているのですが、
ドル円としては、4月後半から6月後半にかけて、
むしろ上昇しています。
このことから、国債金利が下落すれば、
ドルが売られるという方程式が
崩れていることが分かります。
どうやらこの動きは、デルタ株の感染拡大により、
昨年の3月以降の動きと非常に似てきており、
株式市場から国債市場にお金が流れ、
そしてドルが安全資産として捉えられるようになり、
ドル買いへと資金が流れたことになります。
先月までは、アメリカを中心として、
インフレ懸念が広がっており、
株価上昇、ドル円の上昇が見られていたわけですが、
今月からデルタ株の感染拡大によって
上記のように相場が変わり、
これが最近の相場の理解不能な動きに
繋がったと言えます。
現在の相場の焦点は、
恐らくワクチンで本当に収束していくのか、
デルタ株の脅威はどのくらいあるのか、でしょう。
その証拠にここ最近では、
モデルナの株価が急騰しています。
ワクチン接種率1位のイスラエルは、
ファイザー製のワクチンを95%の人が打っている状態で、
一旦は収束したかのように見えましたが、
直近では1日の新規感染者数が1000人を超える等、
足元で増え始めてきています。
これらのことから、市場参加者の心理として
ワクチンは今後も長期的に打ち続けないと収束しない、
ファイザー製だけでは
デルタ株には効果が薄い可能性があることから、
モデルナの株価急騰に繋がっているのでしょう。
そんな中で、これまで急激な経済回復をしてきて、
株価も上昇してきたわけですが、
これが一旦の見直しということで、
株価下落に繋がっていったと
考えることができます。
その上で、今後の相場の展望ですが、
まずは今週FOMCが控えています。
これまではインフレ懸念や
テーパリングの早期の実施等が
注目されていましたが、
今回は変異株の感染が
経済にどのように影響を与えるのかが焦点となり、
緩和策の縮小に関しては
来年以降になる可能性も浮上してきており、
懸念されていたテーパリングの示唆は
一旦は後退したと考えても良いでしょう。
また今月末までにアメリカでは
債務上限を引き上げる必要がありますが、
バイデン政権の
インフラ計画に関する協議が難航しています。
最悪のケースとしては、
2011年のオバマ政権の時のように、
債務上限による政府期間の閉鎖、
そして米国債の格下げ等も
考えておく必要があります。
イエレン財務長官も、このままでは8月にも
デフォルトに陥るリスクがあると述べている通り、
債務上限引き上げは喫緊の課題であり、
今月末に近づくにつれ、
相場が荒れていきそうです。
その為、急激な米国株の下落や
ドル売り動意には注意が必要です。
直近の経済について:ユーロ編
次にユーロに関してですが、
先週ECB理事会があり、
インフレ上昇は一時的であるとの発表があり、
ユーロが売られる展開となっていました。
先日のECBの戦略見直しによって、
インフレ目標が、2%を少し下回る水準から、
2%に変更されており、
より緩和策が長期することが予想されていました。
やはり先日の記事で記載したように、
ECBの緩和策の維持の長期化とのことで、
相場はユーロ売りに反応した形となりました。
そして次は、
新たなインフレ見通し等が公表される
9月の会合が注目となります。
そこではPEPPの行方について
議論される可能性があり、
その為にはかなり前にインフレ見通しが
2%に達している必要があるとのことで、
今後もEU内のインフレ指標が
より注目されることになるでしょう。
ただ裏を返せば、ECBとしては、
長期の金融緩和を
維持することが可能となったことで、
引き続き、ユーロの上値が
重い展開は続くと見ることもできます。
直近の経済について:ポンド編
次にポンド関連ですが、7月19日にイギリスで
パンデミックの規制を解除したことによる
政府に対しての不信感等から、
ポンドが売られる相場となっていました。
現在イギリスでは
新規感染者数が増えてきており、
ワクチン接種率の高いイギリスが
今後、重症患者が増加するのか
どうかが注目されています。
もし重症患者が増えないようであれば、
期待感からポンドが買われるでしょうし、
重症患者も増え、
再度のロックダウン等ということになれば、
やはりポンドが売られる展開となるでしょう。
直近の経済について:日本編
そして最後に日本円ですが、
現在実質実効為替レートが2015年当時と
同じレベルの円安となりつつある状況になっています。
実質実効為替レートとは、ドル円等、
2国間の通貨の強弱を示すものではなく、
日本円とその他の国の全通貨のレート、
さらに貿易額や物価変動分等を
調整したものになりますので、
その国の通貨そのものの実質価値を
測ることができる指標です。
実は2015年に現在と同じように
実質実効為替レートがかなり円安となっていたのですが、
その時に黒田日銀総裁が、
これ以上の円安は容認できないと、
いわゆる円安けん制をしたことがあります。
そして現在も2015年当時と
同じくらいの水準にまで円安が進んでいることから、
日銀による何かしらの円安けん制がある
可能性が高まってきています。
また8月は円高になるというアノマリーもあり、
これからしばらくは円安に仕掛けるトレードは
少しリスクが高くなってくる可能性もあります。
ということで、各通貨の状況を解説しましたが、
8月に入っていくにつれ、夏枯れ相場とも言われ、
相場全体の動きが鈍くなってくる時期でもあります。
こういった時は無理にトレードするのではなく、
相場の学習や
チャート研究に充てるという考えも必要です。
相場次第ではありますが、
方向感の無いような相場になるようなことになれば、
今年の夏は、
ゆっくり家でオリンピックを観戦して
過ごすのも良いかもしれませんね。
以上、何か参考になれば幸いです。
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