世界的な景気後退も、FXには追い風になります

こんにちは、北田です。

先週、女王・エリザベス2世が死去されましたね。

女王はイギリス史上だけではなく、
世界における存命中の君主のなかでも
最長の在位期間を過ごされました。

イギリスの君主は、
イギリスがかつて植民地として支配していた
カナダやオーストラリアなど、他の14ヵ国の君主でもあります。

女王は25歳で即位されてから、
第二次世界大戦後のほぼ全期間にわたって
イギリスを見守り、

つい先日、首相に就任したトラス氏の任命など、
亡くなる直前まで公務をこなされました。

エリザベス女王陛下の御冥福を、心よりお祈りしたいと思います。

そして、同時に長男のチャールズ皇太子が
“ チャールズ3世 ”として新国王に即位されました。

これにより、イギリス国内では、

国歌の歌詞、紙幣や硬貨のデザイン、
憲法の一部までも変わることになります。

しかしながら、現在イギリス国内では、

エネルギー不足やインフレ、
スコットランドの独立気運の高まりなど、
さまざまな問題が噴出しています。

さらには、君主制、王室の批判などが国内外で出ていて、

かつての奴隷制度の歴史を踏まえた、
カリブ海諸国を中心するイギリス離脱の動きが
活発化するとともに、

今回の女王の死去をきっかけとして、
国内でも王室の影響力が低下する可能性が高まっています。

エリザベス2世の死去は、イギリスはもちろん、
世界的にも大きな影響を与えることになるかもしれません。

世界的な景気後退の危機

相場について確認していきましょう。

ここ数ヶ月で原油価格が下落していることから、
思った以上に、景気後退の懸念が高まっていると分かります。

先月のジャクソンホール会議における、パウエル議長の

「多少の痛みを伴ってでもインフレ退治をする」

という発言に続き、
先日のECB政策金利会合では、ラガルド総裁からも

「経済成長は下振れ予想であるものの、インフレに対処していく」

と、かなりのタカ派発言が飛び出しており、

景気後退に陥ろうともインフレ対策を優先していく姿勢が示され、
相場全体が景気後退を意識した動きとなっています。

また、中国では10月16日から
党の指導体制などを決める共産党大会が開催される予定です。

ゼロコロナ政策で落ち込んだ景気を下支えするために、
8月には中期貸出制度(MLF)、
銀行貸出金利の指標となるLPRを引き下げました。

今月は外貨預金準備率も引き下げています。

これらの事実から、中国でも景気減速が懸念されており、
今後は景気減速がどこまで続くのかを焦点とし、相場が動いていきそうです。

米ドルについて

為替市場に焦点をあてましょう。

まずは米ドルですが、

先週発表された、
8月のISM非製造業景況指数は56.9。

この数値は50%を超えると景気拡大を示しますが、
予想外の2ヶ月連続の上昇となりました。

仕入れ価格が4か月連続で低下しており、
これが需要の回復に繋がったのではないかと思います。

また、22日にはFOMCがあります。

すでに金融政策などの発言を禁じる
ブラックアウト期間に入っているため、
FRB高官からの発言は控えられていますが、

パウエル議長の「データ次第」という言葉通り、

今後は各指標の数値がより重要視され、
ドルが売買されていくと考えられます。

ユーロについて

次にユーロに関しては、

先日のECB政策金利発表で0.75%利上げし、
今後も高い水準での利上げの必要性も示されました。

ただ、ヨーロッパに天然ガスを送るパイプライン、
「ノルドストリーム1」が止められてしまっており、

天然ガス価格の高騰などによる景気減速の懸念が、
ユーロ上昇を抑える展開となりそうです。

ポンドについて

ポンドに関して見てみましょう。

エリザベス女王の死去に伴い、
10日間が喪に服する期間となりました。

それにより、イギリスの議会活動は停止、

BOEの金融政策決定会合も、
15日の予定だったのが、22日に変更となりました。

次回の金融政策決定会合では、大幅な利上げが予想されていますが、

イギリスでは今後もインフレが加速すると見られており、

景気後退の懸念から、
ポンドを思い切って買っていく展開には
なかなか至らないのではないかと思います。

またトラス新政権による経済政策の影響で
財政悪化も心配されており、

これがポンド売りのきっかけとなる可能性があります。

円について

最後に円に関してですが、

1ドル145円の直前まで上昇してきたタイミングで、

日本国内で、財務省・金融庁・日銀による
三者会合が行われました。

これにより、いったんは
円買い優勢へと相場が転じましたが、

具体的に打てる策が何もなく、
再度、円売り優勢に戻りました。

日本の円買い介入は資金に限界があり、
協調介入についてもFRBの協力を得ることが難しく、

今後も口先介入しかできない状況が続くと予想されます。

これを見越して、

円買いが入ったタイミングが
むしろ押し目のチャンスと捉えられ、再度円が売られる

といった展開が、今後も続くのではないかと見ています。

ということで各国の通貨を見てきましたが、

今月から量的引き締めである“ QT ”が
FRBにより拡大するほか、

これから冬を迎える北半球で
エネルギー政策をどう展開していくか、

中国のロックダウンや
共産党大会に向けた動きがどうなるかといったことで、

相場が大きく動いていきそうです。

特に、景気減速がテーマとなって相場全体が動いていくと予想されます。
これらを手掛かりに、相場を見ていくと良いかと考えています。

以上、何か参考になれば幸いです。

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