アノマリーってなに?儲かるの?気になる投資のウワサ、詳しく解説します!
あなたはアノマリー(Anomaly)という分析手法を知っていますか?
辞書的な意味合いだと、アノマリーとは「ある法則・理論からみて異常であったり、説明できなかったりする事象」です。
もっとわかりやすくいうと「理由はうまく説明できないけど、なぜか毎回そうなってしまう、よく当たる相場での経験則」のことを指します。
実際、相場にはファンダメンタルズや投資理論では説明できない動きがたくさんあります。
中でも「その日、その時期、そのタイミング」に決まった値動きをする不思議な習性が相場には存在し、それがアノマリーと呼ばれているのです。
そこで今回は、理論的根拠があるわけではないが、よく当たる相場での経験則こと「アノマリー」について詳しく解説したいと思います!
アノマリーはなぜ起こるの?
結論からいうと、アノマリーがなぜ起こるのかは明確な根拠はありません。
しかし、アノマリーは多くの投資家が知っており、信じている人が多くいるため、その根拠を信じて売買を行うケースがあります。
そもそも相場というのは、参加者の心理がそのまま値動きに反映されるもの。つまり、根拠があろうがなかろうが、例えば多くの投資家がアノマリーに従って買いエントリーを行えば、アノマリー通りに相場が上昇していく結果に繋がります。
そして一度アノマリー通りに動いた相場は、プロの投資家、報道関係者の間で話題となるため信ぴょう性が増します。そうなると、次回以降も影響を与える可能性は必然的に高まりますよね。
それがアノマリーの原因になっていると予想されています。
有名な相場のアノマリー
アノマリーはたくさんの種類がありますが、一時だけ機能していたものから、数十年単位で有効性が確認されているものまで存在しています。
そこで今回、とくに意識されている有名なものをご紹介したいと思います。
米大統領選挙と好景気
最も有名なものの1つが米大統領選にまつわるアノマリーで「選挙前後は株価が上がる」と「選挙の年はドル高になる」という現象です。
2020年は米大統領選挙の年でしたが、まさにアノマリー通りの動きとなりました。
下記はアメリカの代表的な株価指数である「S&P500」のチャートになりますが、過去最高値を更新しています。
先ほどアノマリーは「理由はうまく説明できないが、なぜかそうなるもの」とお伝えしましたが、この現象にはちゃんと理由があるんです。
米大統領選挙前の時期になると、現職の大統領はもう一度当選したいわけですから、選挙対策として景気を上げる政策をとります。
さらに大統領選挙といえば、候補者同士の激しい批判合戦と、強気な景気対策の公約などが、連日テレビやラジオ、そしてネットメディアで流れます。
こんな風に、アメリカ全体の景気を良い方向にしようという働きかけの影響で、その期待から株価や景気上がりやすくなる。わかりやすい根拠もあることから、この米大統領選挙にまつわるアノマリーは多くの投資家に信じられています。
節分天井、彼岸底
節分天井、彼岸底とは、年末の反動で株価が値上がりをした翌年は、節分(2月3日)の頃には天井を打ち、彼岸(3月20日)の頃に底値を付けることがあるというアノマリーです。
もともと、このアノマリーは米相場時代から使われており、米相場は節分の時に天井を付け、彼岸底の時期には底を打つ動きがあったとされていて、現代にアノマリーとして伝わっています。
はたして、この現象は現在の市場でも当てはまるのでしょうか?
下記画像は2020年の日経平均株価なのですが、こちらを見てみると、ちょうど節分以降から底値を目指す値動きが出ていて、見事アノマリー通りの動きとなっていますね。
では、なぜ節分以降から底値を目指す動きがでるのかというと、多くの企業や投資家は3月の決算時期に向けてポジション調整の売りを始めることが重なるからです。
米大統領選挙と同じように、相場は参加者の心理がそのまま値動きに反映されます。つまり、多くの投資家がポジションを売りに出すことで、底値を付けやすい状況になってしまうことが、このアノマリーの根拠の部分とされています。
FXの場合は、国ごとの通貨の取引となるため、その国の経済状態を把握すること、また今後の経済施策などの動向を加味することが重要です。
それによって、このアノマリーの時期はどちらにポジションを持つ方が有利に働くか、またはエントリーを控えるべきなのか、判断材料の一つとなるでしょう。
Sell in May
Sell in May(セル・イン・メイ)とは、もともとウォール街の格言として知られており、原文は「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day」です。
※St Leger day(セント・レジャー・デイ)とは、イギリスで行われる競馬レースのこと。
日本語に訳すと、「5月に売って、Leger day(9月第2土曜日)まで株式市場に戻って来るな」となり、昔の銀行家の慣習を示している言葉だといわれています。
5月から9月までの期間はサマーバケーションの季節で、欧米の相場は閑散期、つまり相場が大きく動かないことが多い、というのが通説です。
つまりSell in Mayとは、5月は値下がりトレンドの起点となりやすいから、ポジションを売り払うと良い、というアノマリーなんです。
FXの場合だと、クリスマス・シーズンから年末・正月の間にかけて、大口トレーダーや専業トレーダーと呼ばれる方々が長期休暇に入ってしまうため、相場の流動性が下がります。
流動性が下がると相場の値動きも不安定になるため、一般トレーダーの方もこの時期はポジションを持たずに休むといった対応をすると良いでしょう。
ここまで紹介してきたアノマリーは経済の動きと関わりが深く、意外にも裏付けがある内容でした。そこで最後に「これぞアノマリー」と言える、不思議なトピックスを紹介します。
ジブリ効果(ジブリの法則)
このアノマリーは、スタジオジブリのアニメ作品がテレビで放映されると、極端な株安や円高などを引き起こし、相場が大荒れになるというものです。
数あるアノマリーの中でも、最も有名で摩訶不思議なものの一つとして知られています。
その真相については、日本テレビが『金曜ロードSHOW!』でジブリ作品を放送するため、米雇用統計が発表される、第1金曜と重なりやすいという面はあります。
ただ、ジブリ作品が放送されたときに限って、なぜか円高ドル安・株価乱高下が起こってしまいがちなんです。
実際、過去には米雇用統計発表とジブリ放映が重なったタイミングでドル売り円買いを行った結果、大きな利益を得たというエピーソードも多々あるようです。
数ある中でも信ぴょう性、ユニーク性ともに注目度の高いアノマリーだといえるでしょう。
まとめ・アノマリーとどう向き合えば良いのか?
本日ご紹介したアノマリーはほんの一部ですが、どれもトレーダーのあいだでは有名なものばかりです。中には、明確な経済的事情が示せないようなものもありますが、なぜアノマリーは注目されるのでしょうか?
その大きな理由のひとつが「多くの投資家がそのアノマリーを信じ、ポジションを取っている」から。
特に今回ご紹介した有名なアノマリーの場合、多くの投資家がそれらを意識して投資判断を下します。つまりアノマリーを信じる投資家たちの手によって、結果的にアノマリー通りに相場が動くというわけです。
そのため、アノマリーの信ぴょう性の追求ばかりでなく、アノマリーがあるということを意識して投資判断を行うだけでも、トレードのパフォーマンスの向上に繋がるでしょう。
ぜひあなたも様々なアノマリーを、実際の相場と照らし合わせて見てくださいね。