ドル買い円売り動意の要因について
こんにちは、北田です。
前回から「投資で生きる」で
記事の連載を開始しましたが、
「ファンダメンタルズの情報が非常に参考になった」
という感想をたくさんいただきました。
世界の経済動向を知っておくことで、
トレードする際にどちらの方向に長期的に動きやすいか、
また各国の通貨の強さはどうなるのかなど、
テクニカル分析とはまた違った視点でも
判断できるようになります。
ぜひ、今後の連載内容でも、
あなたのトレードに役立つ情報をお届けしますので、
参考にしてみてくださいね。
ドル買い円売り動意の要因について
先週はとうとうドル円市場で111円手前まで上昇しましたね。
その背景としては、やはりドル買い動意と共に、
円売り動意も同時に見られたからではないかと思います。
まずドル買い動意の要因として、
バイデン大統領が8年間で2兆2500億ドルのインフラ計画を打ち出し、
株価上昇、長期金利上昇となりました。
さらに各指標発表で、ADP雇用統計、米雇用統計、
ISM製造業景況指数等強い数字が出たことでも、
ドル買い動意へと繋がっていきました。
また米国経済の回復を期待し、
米国株式市場が上昇したことで、
日本株も上昇し、円売り動意へと振れ、
ドル円としては大きく上昇した相場となっていました。
ただ先週の始めに、
米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが
かなり高いレバレッジをかけて運用していたところ、
追証にかかり、株式の売却を余儀なくされたことで、
野村HDが2000億円、クレディスイスが3000億円以上、
また三菱UFJ証券やみずほFGなども
損害が発生したというニュースが流れ、
株式市場が一時的に乱高下しました。
ただ、バイデン政権の大規模なインフラ計画の発表や、
アメリカのワクチン接種率の増加などで、
株式市場は安定し、むしろ上昇を見せておりますが、
今後も注意は必要かと考えています。
1997年のアジア通貨危機が原因で破綻した
LTCMが約46億ドルの損失だったのに対して、
今回のアルケゴスは開示されていないですが、
どうやら200億ドル規模の損失になるのではないかと言われており、
規模の大きさが分かるかと思います。
今のところ市場では問題視はされていない様子ですが、
これはリーマンショックの時も同様の傾向です。
当初はあまり騒がれていませんでしたが、
数か月後に株式市場に大きく影響を与えましたので、
念のため、今後もこの情報は気をつけて
見ておいたほうが良いと考えています。
今後のドル、ユーロ、ポンドの動向について
そして今週は、FOMC議事録の公開が予定されており、
この記事の公開時には、既に発表されているかと思います。
内容的には金融緩和策の維持となるでしょうが、
インフレ見通しの引き上げや、テーパリングに関する話題が出てくれば、
ドルが売買され、その後の相場にも影響してくるでしょう。
そしてユーロに関しては、
現在フランスやイタリア、ドイツ等でロックダウンが継続し、
アメリカとは逆に経済活動の再開が後退している状況になっています。
今週の指標発表で、
失業率や生産者物価指数等で弱い数字が出てきたり、
ECBのさらなる追加緩和が浮上すれば、
さらなるユーロ売りとなる可能性もあります。
またポンドに関しては、
原油価格の値動きが不安定な状態が続けば、
ポンド買いは難しい状況が続くかと見ています。
また逆に、イギリスではコロナのワクチン接種率が進んでおり、
経済活動が正常化しつつありますので、
ポンド売りの方向に考えることも難しいと考えています。
ということで、各通貨の状況を解説致しましたが、
年度が変わって、また株式市場、そして為替市場も
相場がさらに変わった印象があります。
相場は常に変わっており、
一つのロジックや一つの運用方法だけで稼ぎ続けられるほど、
相場は単純ではありません。
常に相場の変化とともに、ロジックを変えていく、
アレンジしていく、チューニングしていくことで初めて、
相場から利益を出し「続ける」ことができます。
今後もぜひ相場の変化を楽しみながら、
今年度もトレードしていけたらと思います。
以上、何か参考になれば幸いです。