140円到達間近!相場が“ さらに動く ”ビッグイベントとは?

こんにちは、北田です。

先週の株式市場では、
週ベースで見ると、

NYダウやS&P500等の
米国指数は再びマイナスとなりましたが、

日経平均株価や
TOPIX等の日本株指数に関しては、
大きく上昇した相場となりました。

また今年に入ってから、

NYダウは-10.6%、
S&P500に関しては-14.29%に対して、

日経平均株価は-5.26%と、
下落はしているものの、米国株に比べると、
下落率は浅い相場となっています。

背景としてはやはり、

アメリカの急速なインフレと
それに対しての大幅な利上げ観測、
そして今月から始まったQT(量的引き締め)

といったところでしょうか。

その反面、各国と違い日本では、
金融緩和継続が示されていることで、

日米の株価推移の違いとなって
表れているとも言えます。

そして現在アメリカでは

前回の新築住宅販売件数が、
16.6%減と約9年ぶりの大幅減になっており、

景気後退が不安視されています。

さすがのFRBとしても、
急速な利上げは市場に悪影響を
与えてしまうと考えるようになり、

9月の政策金利に関しては
小幅の利上げないしは、一旦の停止も
考え始める必要がでてきました。

また米ベージュブックでも、

4地区のエリアで経済成長が減速、
3地区で物価の伸びが鈍化、
1地区で雇用の増加ペースが減速等の報告もされ、

ADP雇用統計でも
非農業部門雇用者数に関しては、

予想30万人増のところ、
12.8万人増にとどまり、

これらのことから、

急速な金融引き締めが
一旦は落ち着くのではないかということで、
米国株が上昇に転じました。

ただそんな中、

先週末に発表された雇用統計では、
非農業部門雇用者数では
39万人増と市場予想を上回り、

今後の積極的な金融引き締めが
継続されるとの見方が再度広がり、

株価は下落となり、
週を終えました。

さらに今月から
始まったQTに関しては、

国債の償却分も含めて減額のキャップを
当初、米国債は300億ドルに設定されており、

今月は償却分が482.5億ドルありますので、
差額の182.5億ドル分の再投資に
抑えられるということになります。

実際に今月国債が
売られるというわけではないのですが、

3ヶ月後には
毎月600億ドルに設定されており、

ここで償却分でも満たない場合は、
いよいよ国債の売却ということになります。

MBS(不動産担保証券)も同様で、
当初は175億ドルに設定されていますが、

3ヶ月後には毎月350億ドルまで
引き上げられることになっていますので、

これがどう市場に影響を
与えるかは未知数な部分があります。

2018年パウエルショック相場から見る今後

ちなみに株価が大幅に下落した2018年、
いわゆるパウエルショックと言われた時期は、

2017年10月の段階で、
米国債60億ドル、MBS40億ドルに設定され、

その後、米国債に関しては、
月額300億ドルに達するまで、

1年をかけて
3ヶ月おきに60億ドル増やす、

MBSに関しては、
月額200億ドルに達するまで

1年をかけて四半期ごとに40億ドル増やす、
という計画を立てていました。

そして2018年9月には米国債300億ドル、
MBS200億ドルとなり、

今よりもゆるやかに売却額を増額し、
金額としても今よりも
低い数字となっていました。

しかしながら、

当時、米国債300億ドル、
MBS200億ドルという数字は、

市場をびっくりさせ、
株価が大きく下落し、

これ以上QT継続は難しいと判断され、
11ヶ月後の2019年9月に終了となり、

その後、株価は大きく
上昇していくことになりました。

この流れを見ると、

今回のQTのスピードも
金額も当時より大きいことから、

これが今後どのように
市場に影響を与えるかは
注意していく必要があります。

そして今後の相場全体のテーマとしては、
やはり消費者物価指数等のインフレ指数や、

雇用統計、住宅関連指数、
景況指数等の景気動向を確認しながら、

FRBの引き締めペースが
どのように行われるかによって、
動いていくでしょう。

その上で、為替市場に焦点を当て
各通貨を見ていきましょう。

米ドルについて

前述の通り
週末の雇用統計では、
強い結果を受けて、

金融引き締め継続による
株価下落となりましたが、

ドルとしては
買われた相場となりました。

金融引き締め継続、
いわゆる大幅な利上げ観測、

という原因で、
ドルが買われたと
見ていいでしょう。

その上で今週は、

FRBが今後の金融政策を
決定していく中で、

最も注視している
コアCPIの発表が控えています。

CPIは前回前年比で+8.3%と、

その前の月の+8.5%よりも
鈍化したものの、

依然として
強い数字が出たことで、
米国株は下落、

ドルは大きく買われる
相場となりました。

コアCPIのほうは、
前回は+6.2%となっており、

これに比べて今回は
どのような数字が出てくるかで、

米国株はもちろん、ドルの行方も大きく
変わっていくことになります。

ユーロについて

次にユーロに関しては、
先日発表されたドイツのCPIでは、

+8.7%と非常に高い
数字が出てきました。

またEUとしても、
+8.1%と4月からさらに高い数字となっており、

これに対してラガルド総裁は
金融政策決定会合を待たずして、

個人のブログ内で
「7月に利上げが可能になる」と示し、
ユーロ買いとなりました。

そして6月9日に
ECB政策金利発表を控えており、

政策金利自体は
据え置きの予想ですが、

7月の利上げに関しての
具体的な内容が出てくると思われるため、

その前後ではユーロが
大きく売買される可能性があります。

ポンドについて

イギリスでも、6月16日のMPCによる
追加利上げ期待が広がっていますが、

アメリカと同様に
引き締めによる景気減速も心配されており、

今後大きなポンド買いへと
動く可能性は少ないでしょう。

オージーについて

オーストラリアでは
6月7日に政策金利発表を控えており、

今回も追加利上げが
予想されていますが、

今後の利上げペース予想が、
他国の中央銀行と比べて
ややペースが遅い傾向もあり、

利上げとなっても、
内容によっては売られる可能性もあります。

ニュージードルに関しても
引き続き追加利上げ観測が継続していきますが、

さらに中国の上海ロックダウン解除により、
豪ドル共に、下支えされた動きとなっていきそうです。

日本円について

最後に円に関してですが、

やはり金融緩和継続ということで、
円を売って、他国の通貨を買うという
流れは今後も続きそうです。

先日の参院予算委員会で、
現在の金融緩和継続姿勢に対して
問われる場面がありましたが、

現在日本の物価上昇は
あくまでもコストプッシュ型で

原油や資源の価格高騰によるもので、
円安による部分は比較的小さいです。

確かに円安によって
輸入価格が高くなり、

これにより物価が
上昇している面もありますが、

現在はそれよりも、
ロシア、ウクライナ間による

小麦輸出制限や、
中国のロックダウンによる出荷不足等のほうが
影響は大きいと言えます。

仮に円安が原因による
物価上昇となれば、

ドルが大きく買われているアメリカが、
日本の4倍以上のスピードで
物価高騰している説明がつきません。

また日本は各国に比べても、
インフレ率は低く、

金融引き締め政策に
変更することで円高に傾き、

その結果輸出企業に
ダメージが出てしまうほうが、

日本全体としては
悪影響となってしまいます。

また一時的な
外部的要因による物価高によって、

金融引き締めに
政策変更してしまうと、

原油や資源価格が
落ち着いてきた時に、

一気に景気悪化へと
繋がっていきます。

そのため、

今は金融緩和継続し、
そして物価高によって
影響を受けた部分は、

政府による財政政策でまかなっていく、
そのほうが日本全体、また将来的なことを考えても、
理にかなっていると言えます。

これらのことから、
今後も金融緩和継続し、

政府が財政政策で補っていく
基本姿勢は変わらないと思われ、

引き続き円安、

そして日本株が他国に比べて
強く推移していくことは
変わらないと考えています。

まとめ

ということで、
各通貨を見ていきました。

さらに今週はメジャーSQ(特別清算指数)の
週となっており、そこに、
前述した米CPIも控えている状況、

また来週はFOMCも
予定されているということで、

日本株としては、短期的には
これまでの上昇から一旦の利食い売り
ないしは様子見ムードとなりそうです。

また冒頭で記載した、
日本の金融緩和により、

日本株が米国株よりも
強い動きを見せたという反面、

短期筋のプットの売却や
ポジション解消の動きによって
上昇しただけという見方もできるため、

今週、来週にかけては
油断できない相場となりそうです。

まずは各経済指標をしっかりと確認しながら、
戦略を立てていくようにしましょう。

以上、何か参考になれば幸いです。