安易なドル買いが危険な理由について

プロトレーダーズレポートファンダメンタルズ, 北田夏己

kitada20210603

こんにちは、北田です。

日本では、再度の緊急事態宣言延長となり、
感染がなかなか収まらない状況ですね。。。

そして、市場全体では、
この影響を受けて日本売りが
加速しているように見えます。

それでは現在各国の通貨は
どのような状況になっているのか?

さっそく見ていきましょう。

直近の経済について:アメリカ編

まず、アメリカに関しては、
先週バイデン政権がインフラ拡充に向けて、
6兆ドルの予算を提案しました。

この発表の直後、米長期金利の上昇、
そしてドル円が上昇しました。

また、多くのニュース記事や報道等でも、
このバイデン政権による政策発表によって
ドル円が上昇したと発信しているものが多かったのですが、

リアルタイムで為替市場を見ていると、
そうでもないような気がしました。

報道の発表時と、
為替市場の動きに時間差がありましたし、

5月28日(金)はアメリカでは3連休前であり、
実質の週末、そして月末でもあったことで、

特にロンドンフィックスに絡んだ
ドル買いが見られた印象です。

またさらに某ヘッジファンドが月末による
ドル買いをしてきたという情報もあり、

どうやら、バイデン政権の政策発表による
ドル円の上昇だけとは言い切れないような
相場の動きでした。

ですので、今後も
このバイデン政権の政策によって、

ドル買い動意と考えていくのは
少々危険なようにも感じています。

私自身はこれ以上のドル買いは
厳しいと考えているので、
これから理由を述べていきます。

ドル買いが危険な理由について

まず今回のバイデン政権の経済政策によって、
財政赤字がさらに増えていくことで、

歳出額としては、
10年間で8兆ドルを超える
見込みとなっています。

これにより財源確保の為に、
今後は国債の発行額が
増加することが予想されます。

現在FRBは、
いずれは国債購入規模の縮小、

いわゆるテーパリングの時期を
模索していかなければならない時期に
入ってきていますが、

今回の財政赤字の拡大により、
国債発行額を増加させることで、
当面テーパリングは難しくなっていきます。

現に、カナダやニュージーランドでは、
先週、テーパリングの示唆によって、

大きくカナダドル、
ニュージーランドドルの
通貨が上昇しましたが、

FRBのテーパリングが
すぐには難しいという思惑が広がることで、

ドルを買っていくよりも、
ECBやBOEが先にテーパリングを示唆することで、

ユーロやポンドのほうが
買われやすくなっていく
状況になっていきます。

また、先ほど、
バイデン政権の経済対策の提案により、
「ドル円」が上昇したと記載しましたが、

詳しく見ていただくと、

「ドルが大きく買われた」

とはあえて記載しませんでした。

そして、同じ時期の
ユーロドルやポンドドルの通貨ペアを見てみると、
さほど大きく下落したわけではありません。

仮に大きくドルが買われたのではあれば、
ユーロドルやポンドドルは大きく下落するはずですが、
大きな値動きにはなっていませんでした。

そうすると、
ドルも多少は買われたかもしれませんが、

冒頭でお伝えしたように、
円が売られた、ないしは、

相対的にユーロやポンドが
買われている状況と見ることができます。

ドルは確かに買われたわけですが、
それ以上に、ユーロやポンドが買われていることで、

ユーロドルやポンドドルとしては、
大きく下げることは無かったということが分かります。

このような背景を見てみますと、

現在大きくドルが買われて、
ドル円が上昇したわけではない、

また持続的な買いは
考えにくいということが分かります。

以上のことから、今後も基本的には
大きなドル買いはなかなか考えにくい状況が
続くのではないかと考えています。

指標発表を見ても、
5月フィラデルフィア連銀景況指数、
5月消費者信頼感指数共に市場予想を下回り、
景気回復の一服感が見られています。

さらに今週は雇用統計が控えています。

前回はネガティブサプライズとなりましたので、
その反動で伸びが確認できるかとは思いますが、

それは想定通りの数字となり、
大きなドル買いへと繋がることは
考えにくいでしょう。

直近の経済について:ユーロ編

次にEUに関してですが、
ユーロ円自体は大きく上昇しているものの、

ユーロドルとしては、
大きな伸びにはなっていません。

これはドルがある程度は買われていたこと、
また円が大きく売られたことで、

ユーロドルよりも、ユーロ円が
大きく上昇したと言えます。

現在は、ECBでも
テーパリングの時期が注目されていますが、

ラガルド総裁としては否定しつつも、
現にドイツ等ではインフレ懸念が浮上してきており、

テーパリングが遅れれば
経済に悪影響を与える可能性もあり、

周りの圧力で、ラガルド総裁が
いずれはテーパリングに関して

示唆するだろうという思惑で
ユーロが買われてきたと言えます。

ただ、来週はECB理事会を控えており、
高官の発言が控えられる時期に入ってくることで、
ユーロとしては、様子見ムードになる可能性もあります。

あるいは「噂で買って事実で売る」の言葉通り、

ECB理事会でテーパリングの示唆によって、
ユーロ利益確定売りが出る可能性もありますので、
注意が必要です。

直近の経済について:ポンド編

次にイギリスですが、BOEのブリハ氏が
来年中の利上げの可能性を示唆したことで
ポンド買いとなりました。

イギリスはEU諸国よりも
さらにワクチン接種率が進んでおり、

ユーロ以上にポンドが
買われている状況になっています。

ただポンド円は
ちょうど3年ぶりの高値に到達しており、

一旦の利益確定売りも入る可能性がありますので、
実際にトレードをしていく際は注意が必要です。

直近の経済について:日本編

そして最後に日本ですが、
冒頭でも述べたように、

緊急事態宣言の地域の拡大、そして延長となり、
OECDの中でワクチン接種率が最下位、

またオリンピック開催による感染拡大の懸念があり、
日本売りによる円売り動意が続いています。

また実際に数字としても、
アメリカではGDP成長率がプラスで6.4%だったところ、

日本では、第1四半期はマイナス5.1%、
緊急事態宣言延長により、

第2四半期もマイナスとなる可能性が高く、
各国経済回復、さらには成長もしている中、
日本だけが景気後退している状況です。

さらに各国でインフレ懸念が浮上している中、
日本は9カ月連続でマイナスとなっており、
日本だけデフレ化が進んでいる状況です。

先週は日銀としても、
ETF買いを縮小することを改めて否定したことで、

やはり円を買っていく方向は、
当面難しいのではないかと考えています。

さて6月に入り、月が変わると
相場も変化することが多いですが、

常にロジックをブラッシュアップし、
自分の得意な場面でしっかりと利益に
繋げていくようにしましょう。

以上、何か参考になれば幸いです。

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